この記事のココがポイント
幸せ自体を追い求めてはいけません。幸せになるためのプロセスが重要なのです。
幸せホルモン
幸せとは何でしょうか?
今、幸せは現代科学で科学的に作り出すことが出来そうなのです。
実存主義は物の本質に言及することを嫌う哲学です。
本質を追求するということは還元主義になるということです。
実存主義の考え方では還元主義を否定します。
実存主義的に考えて、還元主義的考察はあまり歓迎されることではありませんが、ここではあえて少し還元主義的に「幸せを」考察してみたいと思います。
人間の幸せという感情がどのような要素によって、人間の脳の中で起きて感じているのかを要素主義的、機械論的に分析して、還元主義的に把握することは、人間が生きていくうえで有意義になると思われるのです。
人間はロボットではない、ということが分かっているという前提があるならば、許されることだと思われます。
さて、人間が幸せであるとき、4つの幸せホルモンが脳内で分泌されることが脳科学によって分かっています。
セロトニン(安心ホルモン)
心のバランスを整える作用 イライラを抑えます。自律神経を整える作用があります。
松果体が出すメラトニンの原料です。
肉魚、卵、乳製品、大豆食品等タンパク質の摂取(セロトニンを増やす物質、アミノ酸であるトリプトファンが多く含む)や運動、太陽光を浴びることで分泌されます。
タンパク質合成に必要なビタミンC、セロトニン合成に必要なビタミンB6・鉄分・葉酸・ナイアシン等も併せて摂取するといいです。(雑穀ごはん等)
ドーパミン(快感ホルモン)
うれしいことが起こると分泌する 快感を得られます。
モチベーション(意欲)が沸きます。
チーズ、納豆、鰹節に含まれるアミノ酸「チロシン」の摂取が良いと言われます。
ウォーキングなどの運動や瞑想でも分泌します。
オキシトシン
・幸福感を与えます。
・社交性を高めます。
・不安や恐怖心を和らげます。
セロトニンと同じく心を落ち着かせる効果があります。
セロトニンとの違いはスキンシップ、ボディタッチで分泌されることです。
また感動する、感謝する、親切にする、思いやりの心を持つこと、などでも分泌されます。
エンドルフィン
・高揚感を上げます。
・痛みを鎮めます。
・脳内モルヒネともいわれます。
このようにこの4つのホルモンは人間にとっていいことずくめなのです。
薬物による幸福
現代の科学ではこれらのホルモンが出やすくするために、食事や薬物の摂取で人工的、科学的に、幸せな感覚になることができるかもしれません。
4つの幸せホルモンのうちオキシトシンは現在でも作ることが出来るようです。
現にオキシトシン点鼻薬なるものが出回っています。
しかし、人工的な薬物で、「幸せであるという感情だけ」を人間の脳に、誘発させることが、本当の幸せといえるのでしょうか?
フランクルは、幸せ自体を追求すれば幸せは逆に、逃げていくものであると言っています。
幸せを追い求めれば求めるほど、幸せというものは逃げていくものなのです。
フランクルは、人は幸せになる理由(仕事や恋人やクリエイティブな創作であるとか、美しい景色を見るとか)を求める存在であり、幸せになる理由があるから、その結果として幸せな気持ちになるのであると言っているのです。
例えば、登山に行って美しい光景を見ている人に、今幸せであるかどうか聞いてみれば、「聞くまでもない」と言うことでしょう。
人は、登山をしていて、美しい自然の光景を見ることで、幸せを感じることができる、というように、幸せになるような行動をとって、その結果として幸せを感じることができるのです。
では、どうしたら本当に、幸せに生きられるのでしょうか?
フランクルの人生で実現すべき三つの価値
フランクルは、人間は、人生において創造価値。体験価値、態度価値の3つの価値を実現すべきであると言っています。
創造価値
自分が心底打ち込むことができる仕事を持つ。
絵を書くことや彫刻をすることによって実現する価値です。
体験価値
恋人を作る。
信頼できる友達を作る。
美しいものに触れる。
楽しいことをする。
美しい景色を見る。
これらの実現によって実現する価値です。
態度価値
不治の病、障害、愛する人の死等、避けることのできない運命に対して取る崇高な、毅然とした態度を取ることによって実現する価値です。
この態度価値が人間の一番崇高な価値であるとするのです。
この三つの価値(創造価値、体験価値、態度価値)を実現することによって、人間は幸せになることができ、幸福感が脳内ホルモンと共に、幸せな感情が結果として現れてくるのです。
最高の態度価値実現
創造価値は自分の持つ創造力を発揮すれば実現できます。
体験価値は体験する時に使う、自分の感覚器官、目耳、鼻、手等の能力をただ使えば実現できます。
しかし、苦悩の価値(態度価値)を実現する場合は、苦悩の能力と言うものを使わなければなりません。
この苦悩の能力は、人間自分自身の決断によって、苦悩に耐える能力(フランクルの言う、精神の反抗力)を、獲得しなければならないのです(フランクル)。
人間はこの苦悩に耐える能力である精神の反抗力を自分の決断力で獲得し、あらゆる苦悩に敢然と立ち向かう態度を取ることができるのです。
人間は自分の人生において、あらゆる苦悩に耐えることのできる、精神の反抗力を獲得できるかどうかにかかっているといっても過言ではないのです。
苦悩に対する敢然とした、ある態度を取るということが、人間の崇高な精神的アセンション(悟り)なのです。
このアセンションを目指すことが、最終の究極的な、人間に与えられた、目標なのです。
変えることのできない運命に対してとる崇高な態度、これこそが人間の最高の態度価値だ、ということを肝に銘じておかなければなりません。。
そして、フランクルはこれら三つの価値を、人間は実現しなければならない責任があるとするのです。
つまり人間は、これら三つの価値を実現できた時に、意図してではなく、結果として人間は幸せを感じることができ、その時に脳内から三つのホルモンが分泌されるのです。
私たち人間がこの地球上に、今現在生きているということ自体が奇跡であるのであって、この恩恵を尊び、そう思って、日々幸せであると感謝して、生きなければならないのです。
そして、フランクルも言っているように、幸せということ自体を目的にすると、かえって幸せは逃げて行ってしまうので、幸せになるための理由を、追求しなければならないのです。それがフランクルの言う、体験価値、創造価値、態度価値の追求なのです。
人間が生きていくうえで、三つの価値を探求することが、人間幸せに繋がる道なのです。。
もう一つの幸せになる方法
それは宗教的な考え方を持つことです。
宗教心を持っている人はそれだけで幸せな生活を送ることができます。
宗教には様々なものがありますが、集団的な宗教では、ある個人によって、個人的な宗教心が歪められてしまいます。
なぜなら、そこにはカリスマ的教祖等の個人の恣意性が入ってしまうからです。
出来れば集団的宗教は控えるべきだと思います。
個人的宗教主義とでも言いますか、フランクルの言う「無条件の意味への無条件の信仰」によって生きることが、脳内ホルモンの分泌が充実する最高の行為なのです。
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