この記事のココがポイント
このブログは、フランクルの思想が根底にあり、その思想を通した考え方が基本となって作られています。
まず初めにフランクルの人物像から述べてみたいと思います。
フランクルの人物像
故ビクトール・エミール・フランクルはウイーン大学でジークムント・フロイドやアルフレート・アドラーに師事して精神医学を学びました。後にフロイト、アドラーに次いでウイーンの第三学派と呼ばれるようになります。
フランクルには「夜と霧」という代表的なドキュメンタリー作品があります。この「夜と霧」はドイツ語では「強制収容所における、ある心理学者の体験」という表題で出ています。
アウシュヴィッツ強制収容所から奇跡的に帰還し、その中での出来事をフランクルと言う、一人の心理学者の目を通して、考察したドキュメンタリーです。
フランクルは、ロゴセラピー(実存分析)の構想は収容所に入る以前から持っていましたが、彼がその本領を発揮し始めたのは、アウシュヴィッツ強制収容所における自らの体験からでした。
彼は、人間の裸の実存を見て、改めてロゴセラピー(実存分析)を再確認し提唱しました。
(フランクルは、ビンズワンガーの現存在分析との混同を避けるために後に、ロゴセラピーと名付けました。実存分析とロゴセラピーは同義語です。)
実存分析の実存とは、19世紀ヨーロッパで当時流行していた実存哲学から取り入れられました。
当時の世界は産業革命で、大衆化現象が現れ始め、人々はそれぞれが、大衆の中に埋没し、本来の自己を喪失していました。
そこで、人間に本来の自己とその自由に目覚めさせ、責任を自覚して決断し行為させる必要があり、実存主義が台頭したのです。
フランクルはこの実存思想の考え方である「人間は自由であり責任ある存在である」、ということを利用して実存分析(ロゴセラピー)を提唱し、心理療法を実際に行っていきました。
フランクルは、アウシュビッツ入る前からロゴセラピー的治療を行っていましたが、強制収容所でさらにロゴセラピーの理論を再確信し、実践していったのです。
フランクルの理論が、今ではすでに宗教とさえなりつつある中で、もう一度フランクルの理論が人間の生き方を、再認識する上での礎となることを期待して、このブログを運営していきたいと思います。
実存思想の中での神
実存主義には神の存在の有無、要するに神を信じるか、信じないかによって有神論的実存主義と無神論的実存主義があります、フランクルは有神論的実存主義に属しています。
フランクルは「神」については詳しくは言及してはいません。それはロゴセラピーは無神論者にも適応しなければならず、中立的立場に立っています。
しかし、フランクルの思想の奥には確実に神の存在を意識しています。
有神論的実存主義・・・・カール・ヤスパース、ガブリエル・マルセル
無神論的実存主義・・・・マルティン・ハイデガー、ジャンポール・サルトル
フランクルの著作
このブログではヴィクトール・フランクルの思想が根底としてあり、その著作からの引用が含まれています。以下にその著作を紹介します。
フランクル著作(日本語訳書)
- 夜と霧(フランクル著作集第1巻)みすず書房
- 夜と霧 新版 みすず書房
- 死と愛(フランクル著作集第2巻)みすず書房
- 人間とは何か 実存的精神療法(死と愛増補改訂版)春秋社
- 時代精神の病理学(フランクル著作集第3巻)みすず書房
- 神経症Ⅰ(フランクル著作集第4巻みすず書房
- 神経症Ⅱ(フランクル著作集第5巻)みすず書房
- 新装版 神経症(その理論と治療) みすず書房
- 精神医学的人間像(フランクル著作集第6巻)みすず書房
- 識られざる神(フランクル著作集第7巻)みすず書房
- 識られざる神(新装版)みすず書房
- それでも人生にイエスと言う 春秋社
- 宿命を超えて、自己を超えて 春秋社
- 制約されざる人間 春秋社
- 意味への意思 ロゴセラピーの基礎と適用 ブレーン出版
- 絶望から希望を導くために (ロゴセラピーの思想と実践) 青土社 (意味への意志 ブレーン出版の増補版)
- 意味への意思 春秋社
- 生きがい喪失の悩み 講談社学術文庫
- 苦悩する人間 春秋社
- フランクル回想録
- 苦悩の存在論 ニヒリズムの根本問題 新泉社
- 意味による癒し 春秋社
- 現代人の病 心理療法と実存哲学 丸善
- ロゴセラピーのエッセンス ビクトール・フランクル 新教出版社
フランクルに関する参考書籍
- ビクトール・フランクルの言葉 コスモス・ライブラリー
- フランクル心理学入門 諸富祥彦著書 コスモス・ライブラリー
他参考文献
- アドラー心理学 岸見一郎 KKベストセラーズ
- 人生の意味の心理学 A・アドラー 春秋社
- 人間知の心理学 A・アドラー PenatesWork
- 嫌われる勇気 岸見一郎 ダイアモンド社
- パワーかフォースか デビット・R・ホーキンス ナチュラルスピリット
- 完全なる人間 A・H・マスロー 誠信書房
- ヤスパース・マルセル 世界の名著 中央公論
- すぐに使える 行動心理学 植木理恵
- 実存心身医学入門 高島博 丸善株式会社
- 人間性の探求 A・サティック M・ビック 産業能率大学出版
- 森田療法入門 上 白揚社
- 未来は決まっており、自分の意志など存在しない。 心理学的決定論 (光文社新書)