ココがポイント
人間は思いは半分のままで、自分のすべてを、懸けることができるのです。
コイントス
コイントスと言うものを行ったことがあるでしょうか?
コイントスとは、コインを投げて、コインの裏側と表側のどちらかを出し、どちらかが出たかで何かを決めることです。
昔の博打打ちに出てくる「丁か半か」や「草履(ぞうり)投げ」や、「靴投げ」等もコイントスと同じものですね。
このコイントスは人間の達成動機理論を応用した、とてもシンプルなゲームです。
コイントスで、コインが高く上がり、降下して手元に落下した瞬間が最も人間のモチベーションが上がるのです。
皆さんも昔からこのゲームはやったことがあると思います。
達成動機理論
心理学者のジョン・アトキンソン
アメリカの心理学者ジョン・ウイリアム・アトキンソンは、人は全員「成功動機」と「失敗回避動機」を持っており、課題を前にした際に成功達成要求が失敗回避要求より強いと、その課題を乗り越えるべく挑戦していくのだと考えました。
アトキンソンの法則
成功動機の高い人(達成したい)
・成功する確率が50%に近いとき、やる気が出る。
・成功する確率が0%に近いとき、100やる気が出ない。
失敗回避動機の高い人(失敗をしたくない)
・成功する確率が0%や100%に近いとやる気が起きる。
・50%に近いとやる気が起きない。
アトキンソンの実験
アトキンソンは小学生たちを集めて、輪投げを使った実験を行いました。まず小学生たちに、確実に成功すると思う距離と、確実に失敗すると思う距離を聞いておきます。その後好きな位置から、実際に輪投げを行うように指示しました。すると彼らが一番多く選んだのはちょうど中間。半分の確率で成功すると思われる場所でした。
つまり人間は、確実に成功する、確実に失敗すると分かっている目標より、半分くらいの確率で成功するかもしれない、と思う目標の方がやる気を出すということなのです。
植木理恵のすぐに使える行動心理学 宝島社 p171
上記はアトキンソンによるモチベーションの実験の一部です。
与えられた課題に対して易しすぎても、難しすぎてもモチベーションは上がりません。
成功率が半分半分即ち、50パーセントの確立の時に最も人間のモチベーションが上がるのです。
つまり、達成率50%の目標を掲げると、人はやる気が出るということになります!
モチベーションは成功率50パーセントでMAXになります。
このことは、人間は何か行動に起こすときには、成功の可能性は半分のままで、
自分の思いのすべてを、懸けることができる、ということが言えます。
昔から達成動機理論は日常生活で利用されてきました。
「コイントスによる表か裏か」
「丁か半か」
「一か八か」
「伸るか反るか」
これらは50%の達成動機理論で成り立っているのです。
人間のモチベーションを最高潮にするゲームなのです。
つまり、人間は気持ちは半分のままで、自分モチベーションを最大限に上げ、自分のすべてを賭けて行動ができるのです。
恋愛においても、勝負の世界においても、何をするにしても、この50%の成功確率と言うものが、人間のモチベーションに大きな影響をもたらします。
私達は、何かするとき、結果はどうなろうと、50%の確率であるならば、運を天に任せてやってみることです。
結果はどうであろうとも、運を天に任せてやってみるのです。
つまり、人間は達成可能性が50パーセントであれば「勇気」を持って行動に移せると言う事です。
人間が「勇気」を持つことのできる瞬間は目標達成率率50パーセントの時なのです。
「勇気」はブログ投稿記事「エネルギーレベル200を目指せ」の中で考察した通り精神的エネルギーレベル200が必要です。
目標達成確率50パーセントのモチベーションであれば、精神的エネルギーレベル200に達することができると言う事なのです。
関連記事・・・エネルギーレベル200を目指せ!
このことが生きていくうえで重要なことなのです。
人間の寿命は長くて100年余り、達成動機を使う機会がどれほどあるでしょうか?
ですから、唯一性と一回性の短い人間の人生の中での、唯一の機会を逃す必要はないので、目標達成確率50パーセントであれば、自分の良心を信じて、勇気を持って行動に移しましょう。
フランクルのロゴセラピーによる「意味」の解釈
さてここで、フランクルのロゴセラピーでの、人生の意味について考えてみましょう。
フランクルのロゴセラピーでは、人生の意味は自分の良心に問いかけて発見しなければならない、として人生の意味の発見と言うことが重要であるとしています。
関連記事・・・フランクルのロゴセラピ
人間は、個人一人一人の、人生の、その場その場の、今ここで、ということが一番重要なのです。
今ここで、をどのように生きるのかが問題なのです。
それが人間が生きているという現実なのです。
しかし、人間は自分の「良心」が間違っているかもしれないというジレンマが生じます。
人間の人生は単なるゲームではありません。
真剣勝負のゲームと言うものもあるでしょうが、人間の現実の生活で、もしかしたら、
今の自分の良心へ問いかけた時、その答えが間違っていて、
自分の人生が台無しになってしまう様な重要な、場面に出くわすことがあるかもしれません。
その場合はどうすればよいのでしょうか?
50%の確率による、人間の達成動機を利用していいのでしょうか?
このことについてフランクルは、
たとえ人間は、具体的な状況の意味に関して、どれほど良心に頼らざるをえないとしても、そしてまた、たとえ人間は、自分の良心が具体的状況において、およそ人間が自由意志をもっているかぎり、誤りを犯していないかどうかということについて、どれほど(最後の一息にいたるまで)不確実であろうとも、人間は、そのような誤りを犯す危険を自らに引き受け、自らの人間性、自らの有限性を信じなければならないのである。ゴードン・W・オルポートもこう述べている。「われわれは、半分しか確信が持てないときでも、全身全霊を傾けることができる。」
人間が決して全能でない以上、人間の自由は有限であり、人間が決して全能でない以上、人間の責任性も有限である。しかし、人間はそれだけに「自己の最善の知と良心を尽くして」決断しなければならないのである。
実存的精神療法 人間とは何か V・E・フランクル 春秋社 p108
と言っており、
たとえ、確信は半分のままでも、人間の50%の達成動機に懸けて、人間の唯一性と一回性の中で、今ここにおいて、良心に問いかけて、
その時その時の状況に応じた決断と行動をし、意味を発見しなければならないことを強調しています。
自分は間違っているかもしれないが、今は、自分自身の良心を信じて決断し行動しなければならない、ということなのです。
たとえ、人間は人間は自分の「良心」が間違っていて、誤りを犯す可能性があったとしても、
自分の良心を信じて、半分でも確信が持てれば、すべてを懸けて決断し行動しなければならないのです。
通常、人間の自分の行動が、間違っていたかどうかは、後になってから分かります。
もし間違っていたとしたら、それを修正するということも人間の義務であり、このことが自分の精神的次元を上げる良い機会となるのです。
人間は自分の間違いを修正しながら、精神的次元の上昇を果たしていく存在なのです。
ゴードン・W・オルポート
アメリカの心理学者でパーソナル心理学(人格心理学や性格心理学とも呼ばれる)の創始者